ロッド製作者 プロフィール


職業:ロッドビルダー  
生年月:1955年2月   
星座:みずがめ座     
血液型:RH+B       
趣味:魚釣り全般     
出生地:愛知県名古屋市

長い一言
釣竿ってそんなに重要なものなの? という質問をされることがあります。結論から言います。重要です。
今まで来店され、ロッドの注文までの間にお客様と話をしたことを書いてみます。私は来店されたお客様にまず質問します。
釣り方はどんなジャンル?等。何故聞くかといいますと、陸パリ、鮎、フナ、鯉、磯などのロッドは扱っていないからです。
主に「振り出し竿」といわれるロッドは修理以外制作することが出来ません
。当工房は沖で釣るためのロッドを制作していますので「船竿」が主流だからです。
まず、釣る場所(港、又は地域)船宿を聞きます。それで大体の釣目、錘負荷が判ります。マダイ、ヒラメ、イナダ、ワラサなど等。
次に、釣り方を聞きます。手持ち、置竿、餌、又はルアー、泳がせ釣りなど。ココで大枠ロッドの種類(ブランクの硬度、長さ)が決まります。

ほとんどの種類のサンプルロッド(スタンダードスペック商品)が揃っていますので実際に錘負荷を掛けてもらい、更にドラグ負荷を掛けてロッドを曲げてもらいます。魚が掛かった時のイメージを再現するためには、ロッドに負荷を掛けるのが一番です。お店によっては、それを嫌うところもあります。理由は簡単!商品ですから傷やクラックが入ったら商品にならなくなっちゃいますからね。
よく売り場で、ロッドのトップを天井にちょっと当てているお客さんいますよね?ハッキリ言いますがあれではロッドの調子はわかりません!
さて本題に戻りますが、竿が釣りに対して何故重要なのか?
それは、ロッドは自分の手の延長なのだからです。昔の漁師は今のように道具が無かった頃全て手釣りで魚を釣っていましたよね。
シャクリ、当りの取り方、掛けたあとのやり取り糸の滑らせ(ドラグ)も全て手でやっていました。
今でも伝統的な釣り方(カッタクリ)は一般の人もやっています。
では、何故ロッドとリールを使うようになったのでしょう?話は簡単!便利性と楽しみのためではないでしょうか?リールは進化し釣りタナを教えてくれます。糸は細く強くなりました。ロッドは手の代わりをしてくれます。置き竿でも魚はかかります。
シャクリの幅が増えます。コマセワークが楽です。などなど・・・・。では、どんな竿でも、リールでもいいのでは?・・・・。
答えは「その通り!」硬くても、柔らかくても、短くても、長くてもいいのです。魚は掛かるでしょう。じゃぁ、何故ハンドメイドの高額?な竿が必要なの?説明します。
釣りの場合大切なのは、魚を掛けた後のことなのです。たとえば 2 本継ぎのキス用の竿でマダイを釣りに行ったとしましょう。
通常 8 号〜 15 号の竿に 40 号のコマセ籠を乗せる事は何とか可能です。何とかコマセを振って当りを待つ。そこに5kgのマダイが掛かったとしましょう。竿は一気に海面に向かって突っ込みます。
穂先は真下を向きますね。そして胴の部分からは、カーボンチューブラ(パイプ)で出来ていますので引きに耐えるでしょう。
しかし、所詮はキス用のロッドですから無理に負荷を掛ければ、おそらくは繋ぎの部分からロッドが折れるでしょう。
折れない場合でも5kgのマダイの突っ込みにはロッドは耐えられません。リフティング(持ち上げ)が出来ず時間ばかり掛かりそのうちハリスが切れてマダイはバレてしまうでしょう。
要するに、バランスの問題なのです。
最近は「ライトタックル」でマダイを釣ることが流行ってきました。でもそれは専用に開発されたマダイ用のタックルなのです。柔らかく、短竿ですが掛けた後、自分の手の延長として身体全体で対応します。
計算されたロッドスペック(ブランク、ガイド等)で制作されたものですから適応したリール(ドラグ)、ライン、錘、ハリスを使用すれば魚は取れます。タックルバランスが重要なのです。
魚を掛けた後に、いかに高確率で釣り上げるかそこが重要なのです。では何故ハンドメイドやカスタムメイドのロッドは市販品のロッドに比べて高価なのか?

量産品の多くの場合
素材の入手
大手の量産品はほとんどの場合、海外生産(中国、韓国、台湾等)のブランクを使用しています。場合によってはガイドも海外生産です。コストが安く上がります。

設計
トータル的なコストダウンのために、部品(パーツ)の数を必要最低限に設定します。
ブランクの性能を100%生かすためのガイド数ではなく、多くの場合ロッドが曲がった時にラインがブランクに干渉しなければよしとしたガイド数量になっています。 まれに干渉しているロッドもありました。

制作
ブランクのカラーはほとんどの場合、塗装されています。ガイドの止めは糸とエポキシですが、最低限の塗りでありスレッドにクラックが入りやすかったり、ガイドに錆が出やすくなります。国産ハンドメイドやカスタムメイドロッドは、上記とは異なります。

ハンドメイドの場合
素材の入手
ブランク素材(この場合ソリッドグラスに絞ります)はさまざまなロッドに合わせ、材質、長さ、太さ(硬度)、調子(削り)を計算し国産のブランクを使用しています。ガイドは全て「富士工業」のガイドを使用しています。

設計
ブランクの性能を生かすために、パーツを取り付ける前の状態で曲がるブランクに合わせガイド設計をしますので、ガイドの数が必然的に多くなります。

制作
ブランクの保護とデザインを兼ねて、スレッド(糸)で総巻きにします。当然のことですが、総巻き糸の上に何回もエポキシを塗り、更に段差を研ぎ出しブランク表面にウレタンコーティングを施します。
ガイドの数が多い分スレッド巻きの工程が増えます。スレッドのコーティングも最低 4 回はします。錆止めと強度を考慮しています。
名入れはお客様の名前、グループ名等を特殊フイルムに印刷し、貼り付け更にコーティングします。
いかがですか?当工房の制作方法は市販品のロッドとは全て異なっているのです。あえて価格部分だけ見れば高価かも知れません。

しかし別のメリットもあるのです。

•  自分の体型や好みの長さ、硬さ、調子が選べる。
•  何百もの色(糸の種類)から好みのカラーで制作できる。極端な場合、一箇所づつ色を変えることも可能です。
•  ガイドの種類(富士工業)の中から、好きな形状、大きさ、材質(ステンレス、真鍮、チタン)カラー(クローム、ガンメタ、ゴールド、チタンカラー) を選べる。
•  リールシートは、さまざまなメーカーから選べます。(メーカー名省略)
•  グリップはEVA、コルク、ウッドグリップ、テープ巻き、レザー巻きの中から好きなカラーで太さが選択できます。
•  バットの長さや形状(フェルール付き、アルミバット、グラスバット、ギンバル等)を選択できます。
•  名入れは好きな文字、書体(フォント)色、大きさ、ロゴ、位置等、自由に指定できます。
コレだけのメリットを活用しても市販のロッド(大手有名各社)と比べても50%ぐらいのアップからでしょ?2倍はしないと思います。
確かに、注文をいただいてから完成までに1ヶ月ぐらいは掛かりますが、コレも楽しみの一部と考えてください。

トータルバランスについて

トータルバランスとは、道具からハリスに到る全ての物を指します。たとえば、大物用の泳がせロッドにキス用のスピニングリールを付ける人はいませんよね。ロッドによってリールの種類、大きさは異なります。(価格は別問題)
的を絞って説明します。前出の「マダイ」釣りを参考にしましょう。(一般的に餌で釣る場合)
ロッドの長短、硬度はお好みで良いとしましょう。錘負荷  50 号〜 100 号のロッドには、ベイトリールを使用します。道糸PE 4 号が300m巻ければ良いとして、錘(コマセ籠) 60 号を付けたと考えます。
ハリスは 3 号を5ヒロ(7.5m)にしたと考えます。ナイロンハリス1号で引っ張り強度1kgと仮定して、3号ならば3kgの引っ張り強度があります。リールのドラグを3kgに設定すれば、ハリスが切れることはないでしょう。
道糸もPE4号なら、ナイロンの5倍の強度として20kgまで耐えることが出来ます。
魚の大きさイコール、ハリスの強度ではなくドラグの設定なのです。このバランスなら10kgのマダイでも上手くやり取りすれば、取れます。
後は経験とテクニックでカバーすれば大丈夫!魚が突っ込んでいるときに、無理にロッドを立てれば必ず弱い部分に負担が掛かります。
このように、釣りは全てのバランスを考えた道具で挑めば、大物をキャッチする可能性が上がります。
ベストマッチの道具を選びましょうね。

注意点に付いて
せっかく購入したロッド、リールも使いっぱなしではかわいそうですよね。どんな道具でも、使用後のメンテナンスが必要不可欠です。
まして海水は金属を含めあらゆる素材の強敵です。
ロッドは必ずぬるま湯で洗い、中性洗剤で細部まで歯ブラシ等で洗い、ぬるま湯で濯ぎましょう。
そして、よく拭いたら風通しの良い場所に置き水気をなくして、まっすぐな状態で保存します。
高温多湿な場所には絶対置かないようにしてください。リールも同様、PEはぬるま湯に漬け塩抜きをします。
ドラグを閉めた状態で、温水で全体を洗いましょう。物によってはどぶ付けをしてはいけないリールもあります。ご注意を!
それでも、永く使用すればロッドもくたびれてきますよね?そんな場合はメンテナンスをしましょう。
たとえば、ガイドが変形した、グリップが傷ついた、など通常使用でのトラブルは良くあります。
人に踏まれた、車のドアで挟んだなど予期せぬ事態もあります。
ワンピースの場合、折れてしまったブランクの修復は無理ですが、ブランクが生きていればどんなメンテナンスも可能です。
私が責任を持って修復します。但し、部品代と手間賃がかかりますが・・・・。
また、他社のロッドでも、リニューアルできます。私は心の狭いことは申しません(笑)。
話が永くなりましたが、お店ではこんな話をしながらお客様と楽しく過ごしています。では皆様も、フィッシングライフをエンジョイしてください。

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